今回お薦めするのは、リーガル・ミステリー二作です。
フィリップ・フリードマンの「合理的な疑い」と「採用できない証拠」。
この本、本当に売れなかったみたいですね。「合理的な疑い」の方は、それなりに話題になったしベストテンでも取り上げられました。しかし、その続編の「採用できない証拠」の方は、鼻もひっかけてもらえませんでした。どちらも、あれほど面白い小説なのに。わたしが読んだリーガル・ミステリーの中では、間違いなく最高の二作でした。(そもそもJ.グリシャムとか、面白いと感じた事ないです)
ロングテール度:★★★★★ お奨め度:★★★★★
「合理的な疑い」は、息子を殺した犯人である息子の妻の弁護を、その義父である弁護士が引き受けるという、ちょっとセンセーショナルな設定に魅かれて読み始めたものです。しかし、読み進むうちに、ベタな設定などどうでも良くなり、法廷闘争の面白さに夢中になりました。読み終わった後は、フルコースのこってりとした料理を食べたときのような満足感にひたることができました。
あの時の、面白さを再び味わいたいと思っていたときに出たのが、続編の「採用できない証拠」です。こちらは文庫本上下併せて1200ページ。前半の600ページが事件とその捜査。そして後半の600ページが全て法廷場面というもの。著者も、「合理的な疑い」のセンセーショナルな設定のような、ケレンは一切捨てて、事件もミステリーとしては地味でどうってことないモノです。全てを、純粋に法廷の面白さのみに賭けようという、著者の意気込みが伝わってきます。
結果、凄まじい迫力の法廷小説が生れました。読んでいて、これ以上ないというほどの満足感を得られました。法廷場面の面白さに頭から足の先までどっぷりと漬かった一週間でした。「採用できない証拠」は、ミステリーというよりは裁判小説です。そのためミステリーのような、真相の究明もありません。判決は出るものの、真実なにが起ったのかは最後まで読んでも誰にも分かりません。法廷というものの持つ興奮を純粋培養したような小説です。この小説の、判決の出る場面ほど、読んでいてドキドキしたことはありませんでした。
でも、こう云う小説って、やっぱり売れなかったみたいですね。
 
テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌
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