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「クローバーフィールド」 映画史に残る大傑作?http://longtailer.blog96.fc2.com/blog-entry-47.html">「クローバーフィールド」 映画史に残る大傑作?
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「クローバーフィールド」 映画史に残る大傑作?
話題の映画「クローバーフィールド」をたったいま観てきました。興奮冷めやらぬなかで書いていますので、筆のすべりがあるやもしれません。悪しからず。

ロングテール度:★ お奨め度:★★★★★

大傑作だと思いました。どれくらい傑作かというと、傑作という言葉で表現できないほどの傑作。「2001年宇宙の旅」レベルの傑作です。

映画を観ながら思ったのは、この映画を評価する事は、リュミエール兄弟から始まる110年におよぶ映画の歴史、その全てを否定する事になるということです。それでも、あえて傑作と評価したいというのが、今のわたしの気持ちです。

(具体的な内容は追記で書くことにします。下の[Read More]をクリックしてください)


この映画の内容を一言で云うと怪獣映画ということになります。さらにこの映画の特徴は、映画全体が、ひとりの登場人物が、怪獣に襲われる体験を家庭用ビデオカメラで記録したという構成になっているところです。つまり素人がビデオカメラを適当に振り回して取った映像を、何の編集も加えずに流しているという体裁をとっているのです。もちろん、演出や編集が無いわけではありません。それどころか、非常に上手く考えぬかれた演出や編集がされています。要は、あたかも何の演出も編集も入っていない映像のように、細心の注意を払って作られているということです。

さて、そういった構成をとるとどうなるでしょう。それは、これまでの映画の歴史の中で積み上げられた理論や文法の全てが、この映画には入っていないということなのです。なぜなら素人は映画の理論や文法など知っている筈がないので、当然、素人撮った映像にそんなものが入るわけが無いからです。映像は途中でブツブツ切れますが、カット割りの無いこの映画には、モンタージュすら入っていません。要するに偶然その場に居合わせた素人の撮った記録映画。YouTubeに載っているような映像です。素人ジャーナリズムという見方をすると、ブログにも相通ずるところがあるかもしれません。

大方の予想通り、その様にして撮られた映像を見ることは苦痛です。カメラは始終ぶれますし、肝心のものは写っていません。喋っている対手の顔が、半分しか写ってなかったり平気でします。逆に、良い所はというと、リアリティと迫力ということにつきます。わたしは映画において、リアリティと迫力は、極めて近い関係にあると思っています。そして、リアリティと迫力をもっとも引き出すのは「さりげなさ」だと信じています。「さりげなさ」とは、要するに演出の無さのこと。戦後のイタリアン・ネオリアリズムの作家たちが発見した、ジャーナリスティックな演出(演出のなさというのも、ある意味演出なのです)です。作品の中で最もショッキングなショットを、あえて遠景で、スクリーンの中心から外れた部分で、他の被写体を撮っている時にたまたま写りこんでしまったといった具合に撮るやり方。

たとえばこれと対極にあるのは、(特に昔の)ジャッキー・チェンの映画のクライマックス・シーン。ジャッキーは、ここぞというアクションを、超スローモーションで、しかも視点を変えて三回も繰り返します。それを悪いとは云いませんが、ある意味とてもナイーブです。「さあみなさん良く観てください。ここがこの映画で一番苦労したシーンですよ」というジャッキーの声が聴こえてきそうですね。映画というイリュージョンに身を沈めていた観客を、思わず現実に引き戻し、これは映画なんだと思い出させてしまう声です。私は本当に迫力のある映像を撮ろうと思ったら、こう云うものを全て捨て去るところから始めなければならないと思います。

素人がカメラを振り回して撮ったこの作品は、映像の迫力とリアリティという点では完璧に近い出来栄えになっています。観客は、まさに目の前で起っている事を体験するように、映画の作り出すイリュージョンの中にひたりこむ事ができます。

迫力の点では完璧のこのやり方の欠点としては、「物語る」力に欠ける所が上げられます。要するに、他人に意味のある何かを伝える事が難しいのです。これは素人の撮った家庭ビデオを見たことのある人なら分かると思いますが、はっきり云って第三者から見てつまらないんですね。当事者しか楽しめない、内輪受けに堕ちてしまうのです。

この点、「クローバーフィールド」は、非常に良く考えられて作られています。素人の撮った映像だけで、いかに観客の注意を引き続け、しかも最低限意味のある「お話」をいかにして伝える事ができるかを、徹底的に考えています。「物語り」の基本として、まずどんな情報をどんな順番で示すべきかがあります。主人公の視点からでは得られない情報はテレビのニュースや地下鉄の路線図などを使って伝えられます。人間関係のドラマについては、プライベートビデオの上に、怪獣のシーンを重ね撮りしたという設定が効いています。怪獣のシーンの隙間隙間に、昔撮った主人公のプライベートビデオが顔を出すんですね。

このように様々な工夫を重ねることによって初めて、リアルな迫力と物語る力の両方を満せることを「クローバーフィールド」は示してくれました。この映画は、エンドクレジット(5分くらいある非常に長いクレジット)において初めて映画音楽が掛かります。その音楽は、本来この作品のような怪獣映画であれば、当然特撮シーンのバックで流されていたはずの、大袈裟で迫力のあるシンフォニーでした。わたしは映画の迫力にエンドロールの間も椅子から立てずに、音楽を聴いていたのですが、この音楽を聴いて少し可笑しくなりました。この音楽にぴったりの怪獣映画は、そもそも「クローバーフィールド」からもっとも遠い位置にある作品ということになりますが、それを百も承知で、あえてこんな音楽をエンドロールで流す映画作家の稚気に、ついニヤリとしてしまいました。

この映画を観た人は誰でも感じたと思うのですが、それはこの映画が9・11の経験が無ければ生れなかった作品だろうということです。あの9.11のときの、何も情報が分からないにも係わらず、リアルな映像情報だけが次々に送られて来たときの感覚。ショッキングな映像の数々に翻弄され、その意味するところを、まったく情報処理できないでいたときに感じたあの不安。「クローバーフィールド」は、あの時にわたしたちの感じた不安を非常にうまく再現していると思います。舞台も同じニューヨークだし、ショッキングな映像が次々に届くのに何が起っているか全く分からないところも同じです。

プドフキンやエイゼンシュタインがモンタージュ理論を生み出して以来、わたし達が忘れ去ってしまい、今日までその可能性を探ろうとしなかった、映画のもう一つの道。その道の極北に突然現われた奇跡の映画として、9・11を経験し、かつ映像について何かを発言しようとする人は、一度は見るべき映画ではないかと思っています。

(今回は、素人の長い駄文にお付き合いいただきありがとうございました)

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テーマ:B級映画 - ジャンル:映画

この記事に対するコメント

ツミコです(≧▽≦)
ごめんよー映画に興味がな、なくって。。。

1周年記念イベントにご参加ありがとうございました。
また、温かいお言葉本当にありがとうございます。
「ら」でエントリーさせていただきました。
本当にありがとう!!
金曜日で締め切りなんですが、残り物になっちゃった文字が数個余ってます。
一人2個までエントリーできますので、ほんと、もし良かったらのお話しなんですが、寄っていってくださいませー。
(*'-')σ
【2008/04/10 00:52】 URL | ツミコ #- [ 編集]


『クローバーフィールド』と9・11を結びつけた分析がすごいですね。
数年前?アメリカで素人がとったビデオ映像のような
ホラーが話題になったことがあったように思います。
なんだったかな。
行ってはいけない森にいったとか、ヴィレッジ? 違うかも…。汗  
数日前に中国のカメラマンが写真を加工して発表したことが
ネットニュースをにぎわしていました。
今は写真や映像にあまり真実を求めてはいけない時代で
無意識に素人っぽさにリアリティを感じる心の仕組みが
わたしたちの心の中にあるように思います。
クローバーフィールドはこの奇妙な時代の裏をかくような不思議な映画ですね。
ロングテーラーさんの示唆にとんだ映画評を楽しみにしています。
【2008/04/10 11:01】 URL | white_zinnia(penpen) #ZNkQllYk [ 編集]


white_zinniaさん。
「ブレアウィッチプロジェクト」ですね。魔女が居たとかいう禁断の森に、映画学部の学生が迷い込むという話でした。「クローバーフィールド」が採用したやり方の元祖的な作品です。
私は両方とも観たのですが、この二つの違うところは、「ブレアウィッチプロジェクト」は観終わった後で感じるのは、これは間違って公開されてしまった自主映画ではないかという感想をもつところ。本当に、後味まで素人映画なのです。対して「クローバーフィールド」を観終わって感じるのは、普通の映画を見た時と同じような感想です。撮り方はああでも、全体として見るとお金をとって見せる作品として完成されているのです。ある意味、これはこの映画の弱点のような気もします。私的には、もっととんがった作り、要するに完成度の低い作りの方が、より迫力があってよかったのではと思っています。
ほとんど、姿の良く分からなかった怪物が、最後の最後になって全身をあらわにするサービスシーンまで入っているのです。やはりこれはマーケッティングを意識した映画なのです。
【2008/04/10 21:25】 URL | ロングテーラー #- [ 編集]


ツミコです(≧▽≦)
エントリーありがとうございましたー!!
「も」でエントリー完了いたしました。
当たりますように!!

(*'-')σ
【2008/04/10 22:50】 URL | ツミコ #- [ 編集]


以前、「羊たちの沈黙」の記事にコメントいただいてから、RSSで記事拝見させていただいています。知らない映画も沢山あり、楽しく読ませていただいてます。
今日、観にいったんですが初体験の感覚でした。たった2500万ドルであれほどの作品を作ってしまう所が凄いです。アイデアと工夫に溢れた新感覚の映画だと思います。このような作り方が主流になるとは思えませんが・・・
また伺います。
【2008/04/13 01:53】 URL | Whitedog #- [ 編集]


Whitedogさん。コメント、どうもありがとうございます。また、いつもお読みいただいているそうで、恐縮です。
制作費が2500万ドルというのは、映画としては少ない方なんでしょうか。このあたりよく知りませんが、映像を見た感じだと、凄いお金をかけた大作という感じでした。(お金をかけた大作を、あんな風に撮ってしまうなんて度胸があるなあと思っていました)
続編が製られることがすでに決定しているそうで、これも楽しみです。よりアイデアに溢れた刺激的な作品になってくれる事といいですね。
【2008/04/13 11:43】 URL | ロングテーラー #- [ 編集]


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